小泉花恋振り返り3:やらせてみたこと
私には広く浅くいろんな経験とスキルがあるのですが、それは楽観的に「とりあえずやってみて、わかんなければ都度勉強すればいいし、どうしても向いてないなら辞めればいいや」と身軽にチャレンジしてきたからだと思います。そんな背景から試行錯誤したり行動して学ぶことを重視しているので、小泉花恋にもいろんなことをやらせてみました。
何が向いているかなんて、やってみないことにはわからないし、どこからブレイクするかなんてわかりません。チャンスはつかみ取りに行かないと、向こうからやってくることなんて滅多にないのです。さらにアイドルは色んな経験を積んだほうが、表現に幅と奥行きが出てくるので、単に歌やダンスレッスンだけでなく、他ジャンルにもどんどん挑戦したほうが良いというのが私の考えです。
何かをするときには必ず説明したうえで「やる?」と尋ねるので、無理強いしたことはないのですが、想像していたより大変だったことは多かったはず。小泉花恋は私と真逆の性格で、新しい事を始めることにものすごいハードルを感じるタイプ。「やる」とは言ったものの、慣れるまでに時間が掛かって辛かったこともあったと思います。それでも乗り越えて成長していったので、その経験は今後「あの時乗り越えられたんだから、今もきっと大丈夫」という自信になっていくはずです。
いくつかご紹介したいと思います。
・ラップ女子校
lyrical schoolが開催した7日間のワークショップ。ラップとはなんぞやから始まり、ラップを書いてラップするという、普通の女の子のラッパー育成プログラム。講師陣が超豪華で、どちらかというと私が行きたかったんですが、年齢制限に引っ掛かり花恋を送り込んだ形です(笑)。ラップ女子校についてはTogetterでまとめたので、こちら↓をどうぞ。
全く何もわからないところから、こんなに素敵な楽曲とMVができたので感動しました。ここでの学びが「今日、彼女が卒業する。」のポエトリーリーディングにつながっています。
・ひげ剃りメーカーイベントコンパニオン
アイドルを続けるためには、先立つものがないといけません。小泉花恋は実家暮らしの大学生なので切羽詰まってはいないものの、将来的にアイドルだけで食べて行けないなら、生活のためのアルバイトもしなくてはならないはずです。試しに私が関わっていた広告系案件のイベントコンパニオンをやらせてみることにしました。イベコンなら芸能に近いし、ファンも付き、次の仕事につながりやすいのでアイドルにはぴったりだと思ったんです。
採寸して作ってもらったナース風コスチューム。周りはプロ意識バリバリで百戦錬磨のイベコンちゃんばかり。のんびりぼんやりアイドル業界にいた花恋は「周りのお姉さんが厳しい」と言いながらもテキパキと仕事を進めていく姿に刺激を受けていたようでした。この後、「この仕事、花恋ちゃんどうかな」とCMなどの相談もあったので、仕事にこそならなかったものの、顔を通しておくことの重要さを改めて実感しました。
・グラビア
ライブアイドルが水着になる是非はありますが、私は水着になれることは強みになると思っています。いま売れているアイドルや若手女優で水着を通らなかった人はほとんどいませんし、水着になることで雑誌の表紙を飾れたりもするのです。
私がグラビアをやっていたときは、「現役早大生グラビアアイドル」という「インテリ」と「グラビア」という相反する要素が武器になりました(でも自分でインテリって書くと恥ずかしいね!)。小泉花恋はセクシャルな匂いがしないアイドルですが、「清楚」と「グラビア」は相反した武器になると考えたのです。
4冊出した写真集とCHEERZで勝ち取った『ヤングアニマル』のプレゼントページグラビアを材料に、誰もが知る超メジャー誌が決まりかけていたのですが、卒業のスケジュール変更により実現しなかったのがとっても残念。まぁ仕方ない。
余談ですが、人によってはグラビア撮影って淫猥なイメージがあるかもしれないけど、私の場合は「いかに自分の体を美しく見せるか」を探求しながら撮られていたので、エロからは程遠かったです。ちょっとした角度の違いで全然違って見えるのが写真マジック。沢山撮ってもらって、沢山悔しい思いをして(腹が出て見える!脚が短く見える!とかね)、沢山トライ&エラーを積み重ねたから、自分が撮る側に回ったときにアドバイスできるようになったわけです。何がどこで役に立つかなんてわからないものだなー。
・食レポ
できると強い武器になるのがグルメレポートです。グルメレポートが得意だと、情報番組のレポーターの仕事が受けられます。さらに最近のテレビ業界は予算のなさから街ブラ番組が増えていて、気の利いたコメントができると、ゆくゆくは好感度タレントへのジョブチェンジも夢じゃないのです。
そう思って自分がグルメレポーターだった時のノウハウを全て教えこみました。電車サイネージや渋谷の7つのビジョンなどで放映された食レポは事前に沢山練習をしたので良い感じです。何よりファンの皆さんが「出てたね!」「見たよ!」喜んでくださったのが嬉しかった。
実際のところは小食で子ども舌なので、フリーのグルメレポートはお世辞にも上手くはならなかった。どれくらい下手かといえば、杏仁豆腐を食べて「牛乳でふやけたパンみたいな味」と、なぜかパンで表現しがちだったので、パン例えを伸ばしてあげれば良かったのかもしれない。そうなるともはや芸人の枠になってしまうけど…。難しいね。
・お芝居
ここまで書いてきて、花恋にやらせてきたことって結局は自分がやりたかったことや、やって良かったと思ってることだと気づいた…。芝居は観るのも演じるのも好きです。
初期の小泉花恋には、ライブ中に笑顔以外の表現ができないという弱点がありました。でもチクタクテレポートのアウトロのワープゲートを開いたり閉じたりする振付は真剣な眼差しがほしかったので、何度も「そこは真顔で」と指導しても、ついヘラヘラしちゃう。歌詞や世界観を解釈して体現するということが苦手だったのです。
舞台は4本出演して、コメディからシリアスまで演じていくなかで、「役の誰かになる」ということが身についていったように思います。歌詞を渡すときに「この主人公は普段何をしていて、何が楽しくて、何について悩んでいて、休日は何をしてるか考えて。そして歌詞を頭の中で映像にして覚えて」と言うのですが、最初は全くできなかったのが、少しずつできるようになっていきました。
スキルアップを感じたのは、花恋と時々やっていた2人朗読劇です。始めた頃は棒読みだったのが、何回か舞台を経験することで、緩急や強弱をつけたり、感情を乗せたりすることができるようになって、観客に風景を見せるまでになりました。それはライブにも活きていて、「れんれんはライブが良い」と言ってもらえるようになったのは、お芝居を経験したことも大きかったと思います。
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